2008年10月16日木曜日

続・がん50話:第1話 発生の生涯確率 

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続・がん50話:第1話 発生の生涯確率    

毎日新聞 2008年3月27日 大阪朝刊

 がんの発生率や治療成績(生存率)は地域で異なります。これを把握する方法として、地域がん登録が大阪府を含め、世界中で行われています。
 昨年11月には国際がん研究機関が世界58カ国219地域のがん登録データに基づき、294地域・民族について、1998~2002年診断のがんの統計集を発刊しました。
 これに収録されている統計値から、府民が生涯のうちにがんにかかる確率を推計し、米国在住の日系人と比較しました。
 男女の平均寿命の違いを考慮し、男性では79歳、女性では84歳まで生存した場合にがんにかかる確率を計算しました=表。
 全部位では、大阪・男性で2・3人に1人(43%)、女性で3・4人に1人(29%)と推計され、米国の日系人でも似た値でした。がんは、私たちにとってたいへん身近な病気と言えます。
 部位別には、大阪・男性では胃が最も高く(8・6%)、次いで肺(8・0%)、肝臓(6・3%)、大腸(6・2%)の順です。女性では、大腸が最も高く(4・6%)、次いで乳腺と胃(ともに4・2%)、さらに肺(3・4%)、肝臓(2・8%)、子宮(1・4%)の順でした。米国の日系人では、男性で前立腺、女性で乳腺が極めて高く、一方、胃、肝臓はかなり低い値となっています。
 母国と外国(移民先)での発がんリスクの違いは、遺伝的素因よりも生活習慣が発がんに大きく影響していること、言い換えれば、生活習慣の改善によって予防することができる可能性のあることを示しています。
 また、わが国のがんの将来動向を予測するうえでもたいへん参考になります。

(大阪府立成人病センター調査部長、津熊秀明)

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